淋病の原因となる菌は、淋菌(Neisseria Gonorrhoeae:ナイセリア ゴノリア)です。
主に男性の尿道炎、女性の子宮頸管炎を起こしますが、近年では淋病ののどへの感染も多く見られています。
男性の淋病の症状ははっきりしていますが、女性やのどの感染は自覚症状がとても少ないため、オーラルセックスや風俗の利用を通して知らないうちに広まっていることが多い病気です。
淋病は淋菌が粘膜に直接接触することでうつり、淋病に感染している相手とセックスすることでうつる可能性は30%と感染率が高いです。
男性に比べると症状は乏しく、全く症状がないこともあります。従って、いつ感染したのかわからないこともあり、検査したことによって初めて判明するケースもあります。
クラミジアやトリコモナスなどの他の性感染症と症状が似ていることがあるので検査をしてみないと何に感染しているかの鑑別は難しいです。
産道感染により赤ちゃんが結膜炎になってしまうことがあります。
のどの感染ではさらに症状が乏しく、気がつかないことがとても多いので、オーラルセックスにより感染が広がる、もしくは再感染してしまうことがあります。
性器に淋菌の感染があるひとのうち10~30%の人に、のどの感染も見られます。性感染症(STD/STI)が心配な行為があったらのどの検査も一緒にしましょう。
検査のタイミング
症状が出始めるのは一般に数日から1週間程度かかります。症状がある場合は直ぐに病院に行きましょう。
症状がない場合は1週間経ってからがよいでしょう。
実は淋菌に感染した人の20~30%はクラミジアにも感染しています*。
治療が異なるのでクラミジアの検査も一緒にしましょう。
*(参照:日本性感染症学会 性感染症 診断・治療ガイドライン2016)
検査の方法
検査の方法は遺伝子検査が主流で、日本ではPCR法とSDA法が広く普及しています。これらの方法は極めて感度が高く、綿棒採取検体、尿、うがい液などで調べます。
尿道炎や膿などの症状がある場合、淋菌は大量に存在するため、いずれの方法でも採取しても正しい結果が出ます。
症状が乏しいケースや症状が全くない時は、検体の採取は特に慎重に行われなくてはなりません。
特に尿で調べる時は、採取までに2時間以上排尿していない事、出始めの尿(初尿)を採取することが極めて重要です。多く採取すればするほど感度は低下します。
1. セフトリアキソン(ロセフィン)
点滴により静注投与
一回の治療で効果がある
咽頭(のど)の感染にも同じ効果がある
2. スペクチノマイシン(トロビシン)
点滴により筋肉投与
一回の治療で効果がある
などがあります。
(日本性感染症学会 性感染症 診断・治療ガイドライン2016参照)
抗生物質や抗菌剤による治療は『菌を殺す』『菌を増やさせない』だけでなく、炎症を抑える働きもありますので、症状がなくなったからと言って全ての菌がいなくなった(完治した)とは限りません。
薬の服用を始めてから3週間から4週間経ってから、必ず完治確認検査を受けましょう。